1 死後事務委任(しごじむいにん)ってなに?
最近よく話題になっている死後事務委任。
これって何でしょうか。
死んだ後に何か頼む,そういうイメージだと思います。実際その通りですが,くわしくお伝えしていきます。
死後事務委任契約とは,委任者が受任者に,自己の死後の事務を生前に依頼する(準)委任契約です。
要するに,死んだ後にやってほしいことを頼むという契約ですね。
本稿では,死後事務委任契約について,そのあらましを簡単にご説明します。
当HPにはほかにも死後事務委任契約について詳しく解説していますので,ぜひお読み頂ければ幸いです。
- 死後事務委任契約を結ぶには?
- 死後事務委任契約は相続人に解除されないの?
- 遺言とどう違うの?遺言に影響するの?
- 散骨してほしい!〜死後事務委任契約を活用しよう 1 〜
- 人には言えないSNSアカウントやサブスクを解約してほしい!~死後事務委任契約を活用しよう 2 ~
2 どうして死んだ後でも契約が有効なの?
本来,委任契約は依頼者が死亡したら終了します(民653条1号)。
しかし,この規定は絶対では無く,当事者がちがう取り決めをしたらそちらが優先されると考えられています(任意規定)。
死後事務委任契約は,依頼者が死んだ後のことを頼んでいるのですから,当然に依頼者の死亡によって契約が終了しないことを合意しているといえます(最判平成4年9月22日)。
3 どんなことが頼めるの?
(1)なんでも頼める訳では無い
便利な死後事務委任契約ですが,なんでも頼めるのでしょうか。
その限界は難しいですが,遺言できる事項が法律で限定されていることから,死後事務委任契約にも限界があると考えられます。
(2)よくある委任事項
一般的に,死後事務委任契約で依頼されているのはどういうことなんでしょうか。
- ①葬式関係
- ②届出関係
- ③支払いや解約,処分など
(3)親族に頼みにくいことを頼める
死後事務委任契約と同じように,遺言も自分が死んだ後のことを任せることができます。
しかし,遺言できる事項は法律で決められていますので,なんでもは頼めません。
また,遺言書を作ると相続人達に中身を見られてしまいます。どうしても親族に頼みにくいことは遺言には書きづらいですよね。
そんなときに,死後事務委任契約で「親族には頼みにくいこと」をプロの第三者である弁護士に依頼するわけです。
ご自身が死んだ後に処分して欲しいものやことがある方はぜび当職までご相談ください。秘密が保たれる弁護士との相談で,ご自身にぴったりの死後事務委任契約をオーダーメイドできます。
執筆:弁護士 田村裕樹 2023年1月時点の法令・解釈等に基づいています。