1 家賃滞納には様々な局面があります
いざ家賃滞納が生じた場合,何をすればよいのでしょうか。
これは様々な状況によって変わってきます。状況に応じて,どんな手を打つべきかは変わってくるのです。
しかも,先々のことを考えながら行う必要があります。
2 どのような行動を選択するべきか
家賃滞納トラブルにおいて,最も難しいのは,どうすればよいかの判断です。
例えば,いつ支払の交渉をすべきか。
ずっと真面目に支払ってくれていた入居者に対して,1回遅れたからと言って何か言うのは気が引ける,そんな風に考えていませんか?
具体的な手続を行うにあたり,どのような通知を出すべきなのか。
今後の裁判を見越して,どのような内容を書くべきかは大変重要です。
そして,最も重要なのは,「優先すべきは何なのか」の判断です。いつまでも楽観的な見通しで動いていては,より大きな損失を被る可能性があります。
こうした様々な判断は法律の専門家である弁護士に任せれば安心です。
3 法的手続が必要な場合が多い
建物明渡請求では,例えば勝手に鍵を替えてしまったり,荷物を出してしまってはいけません。これは自力救済として禁止されています。短絡的に行動すると,民事上の責任ひいては刑事責任を問われかねません。
問題を解決するのは,きちんと法的手続を執る必要があります。これには時間がかかりますし,損失も覚悟する必要があります。
もちろん,訴訟を本人が行う(本人訴訟)こともできます。ただし,どのように訴状を書くべきか,誰を相手にすべきか,どういう要件があればよいのかなどは自分で判断して裁判所に出さなければなりません。裁判所が一から教えてくれることはありません。
一方,弁護士であれば,こうした場合にどのような裁判手続が必要なのか,もちろんあらかじめ理解しています。適切な手続を執ることでスムーズに事件解決に導くことができます。
4 執行の難しさ
判決を取得しても,それだけで借主が出て行ってくれる訳ではありません。
強制執行を行う必要があります。
執行手続は訴訟以上に一般の方にはなじみがないものです。だれにどのような手続を申し立てればいいのか,知っている方は少ないと思います。それ以前に,平日に時間を取って執行を進めていくことがサラリーマン大家さんには難しいでしょう。
弁護士であっても,全員が明渡の執行を申し立てたことがある訳ではありません。
ここは経験のある弁護士に依頼することを強くお勧めします。
執筆:弁護士 田村裕樹 2021年7月時点の法令・解釈等に基づいています。