弁護士による相続財産の調査

1 他人の財産を調べることは難しい

通常,他人の財産を調べるのは簡単ではありません。

例えば,隣の人がどのような財産を持っているかは,外見上分かるものもあります。持ち家などはそうですね。

しかし,例えば金融資産をどれだけもっているかは,外見上は分かりません。

勝手に他人の家に行って通帳を探すことはできません。

最近では,判決など一定の権利を得た後であれば,財産を開示させる制度がある程度はあります。一方で,こうした制度が功を奏する機会はそれほど無いのが実情です(まだ始まったばかりの制度ですので,今後の発展に期待します)。

2 相続人だと分かることもある

これは相続人である場合には少しちがってきます。

相続人であれば,例えば固定資産税をいくら払っていたかを知る機会があります。毎年送られてくる固定資産税の納付書などですね。

また,普段の生活を知っていれば,どこに銀行口座があるかなどは分かることもあるでしょう。送られてくる郵送物などは大変大きな手がかりになります。

これは,亡くなった後でも同じです。遺産の整理をしている中で,送られてきたはがきから財産の所在が分かることがままあります。

しかし,相続人であっても,なんでも自由に調べられる訳ではありません。

特に,被相続人を「囲っていた」相続人が情報をシャットアウトしている場合には,財産の手がかりがつかめないことがあります。

この場合には,例えば郵便物などにアクセスすることができません。

3 弁護士に出来ること

こうした情報が不足する場合にどうすればよいでしょうか。

ここで,依頼を受けた弁護士であれば,例えば弁護士会照会などの手続によって,通常は知ることが難しい情報を入手することができます。

弁護士会照会の費用は,1件につき約8000円から9000円です。

照会によって重要な財産の存在を知ることができる場合があります。遺産の状況に少しでも疑問を感じておられる方は,弁護士に依頼して調査することをお勧めします。

執筆:弁護士 田村裕樹  2021年7月時点の法令・解釈等に基づいています。

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