建物明渡請求の流れ

1 建物明渡請求の目的は何か

以下で,建物明渡請求のおおまかな流れをご説明します。

しかし,あえてここでお伝えしておくべきは,なんのために建物明渡の手続を行うのか,その目的を常に意識すべきことです。

建物明渡の目的は,もちろん,現在の賃借人を出て行かせることにあります。なぜかというと,その賃借人が賃料を払わないなど,大家さんとの約束を果たさないからです。

究極的には,出て行ってもらうことの方が賃料回収よりも大事であることを忘れないようにしましょう。いいかえると,(新賃借人による)将来の賃料収入こそ優先されるべき目標なのです。

2 手続の流れ

(1)任意での請求

例えば,賃料不払いなどの債務不履行があった場合,まず大家さんが任意に不足分を請求することがあるでしょう。

この場合,何ヶ月も見過ごしてはいけません。1か月でも遅れたらすぐに請求すべきです。

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(2)解除

賃借人の債務不履行が解消されず,解除の要件が満たされた場合,解除のための通知を行います。

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(3)解除を前提に交渉

場合により,解除を前提に明渡の交渉を行う場合があります。

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(4)提訴

解除後も明渡が実現しない場合,建物明渡を求めて提訴します。

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(5)判決を得るまでの交渉

訴訟が開始すれば,判決を得るために訴訟活動を行います。一方で,訴訟係属中も合意して明け渡してくれるよう交渉をすることが多いです。

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(6)判決後の交渉

無事に明渡を認める判決が出ても,やはり合意の上で明け渡すよう交渉し続けることがあります。

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(7)執行

判決確定後も明渡が実現しない場合,執行官に明渡の執行を申し立てます。

まず,執行官と打ち合わせの上,対象の建物に入って,実際の明渡を執行する日(断行日)を決め,催告書を掲示します。これを「催告」といいます。

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(8)断行までの交渉

催告後も,断行までに合意の上で明渡しが実現するよう交渉することがあります。

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(9)断行

断行日には現場に立ち会って,鍵の返還を受けて占有を回復します。

3 連帯保証人に対しての請求・交渉

建物賃貸借契約において,連帯保証人を求めることがあります。

賃借人に債務不履行があった場合,その損害賠償について連帯保証人への請求が考えられます。

なお,近時の民法改正により,個人の保証人と連帯保証契約をする際には,極度額の設定や主債務者の財務状況に関する情報提供義務が規定されています。

連帯保証人に対して請求できるのは金銭的請求であり,明渡自体は借主に請求することになります。

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