家族信託の活用例ー死んだ後はきれいにしたい

1 身体も認知も大丈夫だけど,死んだ後のことは任せるしか無い

(1)死んだら誰が後始末するのか

死んだら誰が後始末するのか

身体も元気だし,認知も問題なく,財産もあって,老人ホームで悠々自適という方もいらっしゃるでしょう。

自分が死ぬまでのことに不安は無い。

けれども,自分が死んだ後の事後処理は絶対に自分以外の誰かがやらねばなりません。葬式,役所への届出,病院などの債務の支払,様々な継続的契約(クレジットカードはもとより,最近では様々なデジタルのサブスクリプションサービスもあります)を解約するなど,やるべき事務は広範囲です。

そもそも身寄りがないため,事後を任せる親族がいない方もおられるでしょう。

たとえ子供や孫がいても,自分が死んだ後に迷惑を掛けたくないと思う方も多いのでは無いでしょうか。

(2)デジタル,サブスクリプションなどの解約を親族には任せたくない場合

また,各種サービスの解約などをあまり親族にしてほしくない(サービスやコンテンツ自体を知られたくない)方もいるでしょう。

また,仮に任せた人が迷惑と考えていなくても,自分が死んだ後,事後処理を任せた人と相続人との間で争いが生じることがあります。

2 信託によって,自分が死んだ後も誰にも迷惑掛けずにきれいにできる

例えば,任意後見契約では,委託者であるご自身が死亡したら契約が終了するため(民653条),死後の事務処理を遂行すること自体が困難です。

そこで,死後事務委任契約を締結することが考えられますが,事務の内容や費用支払いで相続人と紛争が生じる場合がありえます。

そのため,死後事務委任契約に信託契約を追加することで,より安定した死後事務処理を実現することが可能です。

3 活用例

例えば,自分が死んだ後,親族以外の人に葬式を執り行い,役所への届出,病院などの債務の支払,様々な継続的契約を解約してもらうなどの死後事務処理を,死後事務委任契約と信託契約を締結することで,よりスムーズに行うことができます。

4 終活でがまんしない

最近よく言われる終活。いろんなものを片付けることは重要ですが,生きているうちに死んだ後のため何かを我慢するのは本末転倒です。

好きなことを死ぬまで存分に楽しみ,後のこともきれいにできる。信託には人生を豊かにする可能性があります。

5 ご相談は経験ある弁護士に

信託は,とても柔軟で強力なツールですが,万能ではありません。また,信託の設計,設定は簡単ではありません。そして,税務上の問題は常に考慮しなければなりません。 

信託を利用する場合,信託の経験があり,なおかつ家族の抱える悩みに真摯に向き合って,知恵を絞る,そんな専門家である弁護士が求められます。ご自身の悩みが信託で解決できるか分からない,そんな方でもまずはご相談ください。一緒に解決策を考えましょう。

執筆:弁護士 田村裕樹  2021年7月時点の法令・解釈等に基づいています。

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