相続したくない土地を国に!相続の負担が減るかもしれない法律ができた!弁護士が解説

相続した土地の管理が大変

日本は人口が減少する時代となってきましたが、そもそもずっと前から地方の過疎化は進行しています。

都市部への⼈⼝流出により、地方では⼈⼝減少による⼟地利⽤のニーズ低下、⼟地価格の下落等に歯止めがかかりません。

つまり、田舎の土地は相続で手に入れても財産的価値が無く、自分で使い途もない。そのため、相続により⼟地を取得した所有者が管理を放置し、⼟地の管理不全を招くケースが増⼤しています。

そして、この問題の行き着く先は、相続登記が何代もされずに所有者が不明の土地、あるいは何十人、何百人と相続人がいる土地の発生です。

この問題への対応として、所有者不明土地に対する法改正がされました(後日コラムで紹介する予定です)。

最終手段で国に

相続により、⼟地を相続したものの、⼿放したいと考えている⼈が増加しています。

でも、地方の土地は売れませんし、引き取り手がありません。

そこで、⼟地所有権の国庫への帰属の承認等に関する制度、すなわち相続⼟地国庫帰属制度が創設されました。

相続土地国庫帰属制度について

この制度を実現するため、「相続等により取得した⼟地所有権の国庫への帰属に関する法律」が制定されました。

議論では、民法を改正して規定することが検討されていましたが、最終的には新法制定となりました。

相続⼟地国庫帰属制度は、二つの相反する要請を調整するものです。

一つは、所有者不明⼟地の発⽣を抑制し、⼟地の相続負担を軽減する必要性です。まさに上で述べたとおりです。

他方、なんでもかんでも国が土地を受け入れれば、相続税収が無い上に管理負担だけ増えますので、国の財政を圧迫します。

国の財政負担の増加を抑制し、モラルハザードを抑止する必要性もあるわけです。

そこで、⼀定の要件(詳細は追って政省令で規定)を設定し、⾏政庁(法務⼤⾂)が要件を審査し承認する制度となっています。

ですので、申請さえすれば国庫に帰属するわけではありません。

また、要件の細かいところは省令がでてからとなります。

相続や遺産分割の重要性は変わらない

相続土地国庫帰属制度は、相続によって得る土地を持て余す人には良い知らせでしょう。

一方で、すでに述べた財政上の必要から、国は土地受入の要件を相当程度絞ってくる可能性が高いです。

そのため、やはり普段からの財産管理、親族との調整、遺言書の作成など、相続に対して行うべき事柄の重要性は全く変わっていないと考えます。

やはり生前からの準備が極めて重要です。

亡くなった後も、要らない土地だから、相続税の控除の範囲内だからと放置せず、きちんと遺産分割協議をしましょう。それがご自身の、ひいては未来の子孫のためになります。

少しでも自分に関わりがありそうだと感じたら、弁護士に相談してみましょう。


 この記事は、掲載時点の法律関係を前提として記載されています。法改正などにより、解釈適用に変更が生じる可能性がありますのでご注意ください。

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