フルスクラッチに憧れて
模型製作を再開して以来,昔憧れた「フルスクラッチ」にチェレンジしてみたくなりました。
私が小学校のころはガンプラブームの名残があった時期でした。
当時の模型雑誌(ホビージャパンとかモデルグラフィックスとか)で,プロモデラーの方が,粘土やパテ,プラ板などでゼロから造形されていた記事を憧憬とともに眺めていました。
今はあのころより,材料が進化し,使える手段も(小学生のころよりは)増えました。
かわりに時間は無くなったけど,やってみたかったフルスクラッチに挑戦したくなってしまいました。
とはいえ,初心者が難しいものを作れません。
今回は,家族が描いたエジプトの謎多き神「メジェド」のイラストを基に,小さいフィギュアを作ってみました。
メジェドを作ってみる
まず,今回作るメジェドはこんな感じのイラストです。
一応足があるため,土台を足含めてアルミ線で作り,胴体部分にアルミホイルを適当にくしゃくしゃにして巻き付けて芯を作りました。
ファンドで造形する
この芯に粘土を盛り付けていきます。
使ったのは,「ニューファンド」です。固めで切削性がよいとのこと。
基本的にボークスさん以外で入手しにくいですが,秋葉原で購入しました。
先人の知恵に従い,まずは適当にカットして霧吹き,ラップしてジップロックで保管。
一切れのまた一部だけ取り出して,こねこね。
まずは胴体部分に第一弾として盛り付けていきます。
ここで一旦乾燥。
少し作っては、また乾燥します。説明書的には4,5日乾燥が必要みたいです。
乾燥したらカチカチです。ナイフで削ったり、ヤスリがけできます。
デザインナイフで粗々削ったあと、スポンジやすりでゴシゴシします。これは荒目ですが、もっと荒い番手からでもよかったかも。
表面を滑らかにしていきます。
ヤスっていくと、くぼみが大きすぎてならせない場所が分かってきましたので、そこに少しだけ粘土を追加して埋めます。足も付けてみました。
そしてまたヤスリがけ。
さらに、埋まりきらない小さなくぼみや穴に、ファレホのプラスチックパテを筆で塗って埋めます。水溶性なので、水でのばしながら使えるのが便利です。
このパテは白いので、石粉粘土に馴染みますね。
乾いた後、またヤスリがけをします。また埋め切れないところを再度パテで埋めます。乾いたらヤスリがけ。
自作の目のデカールを作ってみた
造形の完成が見えてきたところで、唯一の模様?である目の周りを用意します。
まず、ハイキューパーツさんのクリアデカールTHはがきサイズを用意。うちは白黒レーザープリンタがあります。なお、隠蔽力の問題で、レーザープリンタ用は下地が白で色は黒の時に使うべきだそうです。カラーで出したいときはインクジェット用を使うのが吉とのこと。
次に、印刷用の目のデータを用意します。inkscapeというフリーのベクターソフトで作ります。イラストレーターみたいなソフトです。
下絵を適当に用意して、それを下のレイヤーに配置し、丸形のオブジェクトを利用して目を作ります。
眉毛はペンツールで描きました。
フィギュアで大体の長さを測り、リサイズ。バージョン違いをいくつか作って配置します。
これをプリンターにセットしたクリアデカールTHに印刷します。設定は、高精細、はがき、厚紙にしました。
写真では折れ曲がってますが、きれいに印刷できました。カットした部分は、試しにマグネットフックに貼ってみた分です。
悪くない出来です。
なお、HIQパーツのデカールフィクサーを使ってみたのですが、はみ出た部分を拭き取る必要があることを知らなくて、ベッタベタ塗ってそのまま光沢クリアをスプレーしてしましました。
ま、経験値ってことで。
表面処理をなんとか終える
ファンドやパテを塗ったり削ったりして、何度か1000番くらいまでヤスリがけしました。
正直こだわるときりが無いので、塗装にうつります。
塗装に失敗する
Mr.プライマー・サーフェイサー1000(グレータイプ)を吹きました。色自体は全身白一色の予定ですが、ちょっと陰影が出ればと思ってあえてグレーで吹きました。
次にMr.フィニッシングサーフェイサー1500(ホワイト)を吹きました。影になる部分は薄めにして、ちょっと陰影が残ればいいかなと。
実はこの後、トラブルが・・・
エアブラシでホワイトを塗装しようと吹いたところ、とてつもないダマの飛沫が飛び出てきました。
調査の結果、20年選手のエアブラシが壊れたようです。
乾燥後、ヤスリがけして表面をならしました。
あらためてタミヤ ファインサーフェイサー ホワイトをスプレーで吹きつけ。メーカーを変えたことに意味は無いです(事務所の近くの新橋の直営店でサクッと買えたので)。
このサーフェイサーは白いので、これで塗装完成としました(正直面倒になってきました(笑))。
目のデカールを貼る
自作の目のデカールを貼っていきます。
まずはデザインナイフで周りを切り抜きます。そこまで攻めてません。
水にふやかして浮かせて、貼っていきます。
またもトラブル発生!水に入れただけで右目と右眉毛のトナーが剥がれてしまいました。
貼り直すこともできますが、あえてこのまま乾燥させ、あとで黒でレタッチしてみます。
綿棒でコロコロしながら水分を取りつつ、気に入る位置にずらしていきます。
円柱形のため、端っこが浮き気味です。デカールソフターをチョンチョンとつけて、綿棒でコロコロ拭き取りつつ馴染ませます。
目のレタッチをする
欠けてしまった目のデカールを修正します。
PIGMAの003ブラックというものすごく細いペンで欠けた部分を描きます。
ルーペで拡大しながら慎重に塗りました。いい感じです。
乾燥後、クレオスの水性トップコート(つや消し)を軽く拭きました。
ディスプレイケースで遊んでみる
今回のフィギュアは少し高さがあるので、いつもガチャガチャフィギュアを入れている百均ケースには入りません。
そこで、ちょうどいい高さのケースを探しました。ちょっと背が高すぎなんですが、WAVEのT-CASE(CS)ベーシック・ブラックにしました。
土台でちょっと遊んでみます。
造形の元になった、家族が描いたイラスト(落書き)を写真に撮ってインクジェットプリンターで印刷。
それを円切りカッターで、土台の大きさぴったり(くらい)に切り抜きます。附属のスケールではぴったりが難しかったので、別の裏紙を何度か試し切りして、現物合わせですりあわせていきました。
切り抜いた紙を普通のスティックのりで土台に貼り付けます。イラストから飛び出てきたイメージです。
フィギュアを立てるために中心に真鍮線の入る穴を開けるのですが、いかんせん土台のプラスチックは薄すぎます。そこで、裏から百均の木の切り株(小さいです)をセメダインスーパーXGで貼り付けて、穴のための裏打ち補強にします。
土台の真ん中当たりに1mmのピンバイスで穴を開けます。貫通しないようにと気をつけてましたが、貫通しました(笑)
真鍮線も1mmのため、かなりキツキツでした。
穴に突き刺して完成です。
完成
色々不満もありますが、初めてのフルスクラッチにしては、自分的に上出来です。
ファンドの使い勝手や自作デカール、塗装など、自分なりに失敗の経験値を積めました。
また次の造形を楽しみたいなと思います。