見せ消しでお得感を演出!ネットショップの「参考価格」が実は定価より高かった!?割安とかんちがいさせたのは違法?悪いのは誰?弁護士が解説

  • ネットショップに「参考価格」が表示されている場合,消費者はこれを基に安いかどうかを判断していることがある。
  • この参考価格が定価より高かった場合,実際には割高でも安いと勘違いしてしまう可能性がある。
  • 裁判所は,定価よりも高い参考価格を表示した大手プラットフォーマーに対して景表法違反の措置命令を下した(東京地判令和元年11月15日)。
  • 買主としては,少し手間でもほかのサイトも巡回して相場を判断する努力をするべき。

ネットショッピングは安い?どうやって判断するか

 最近はなんでもかんでも通販で買っちゃう人が増えてます。

 特にネットショッピングはお手軽ですし。

 実店舗が無い分,安い値段で売っていることも多いです。

 裏返せば,目で見て手で触って確認できないというデメリットもあります。

 そんな安さが魅力の通販サイトですが,みなさんは何をもって「安い」と判断しますか?

 その商品の定価が分からなければ,値段が安いか高いかは相場で判断するしか無いです。

参考価格ってなんだろう?

 相場を知る方法は,ほかの店の値付けをたくさん見比べることです。

 けどこれって,面倒ですよね。通販はお手軽さも魅力のはずです

 そんなとき,「参考価格」が表示されているサイトがあります。これをまさに「参考」にして安い高いを判断している人も多いのではないでしょうか。

 この参考価格は,販売価格とは違います。普通は,参考価格が2000円のところ,販売価格は1500円のように,値引きをアピールするものです。

 この参考価格のように,実際の販売価格とは異なる価格を表示することを景品表示法の世界では「二重価格表示」と言います。そのまんまですね。

 この参考価格の値段が正しければいいのですけども,間違った値段を表示したら,本当は高い値付けなのに,安いと勘違いしてしまいかねません。そうしたズルを景表法は規制しています。

 そこで,「参考価格」が実際より高いのかどうかが問題になります。

プラットフォーマーが責任を負うのか?

 この点が問題となった裁判例として,東京地方裁判所平成30年(行ウ)第30号 令和元年11月15日民事第38部判決があります。

 この裁判は,代表的な通販サイトAmazonが,Amazon内で参考価格を表示していたページについて,不当な表示(景表法5条2号の有利誤認表示)であるとして国から景表法違反の措置命令を受けたため,この取り消しを求めた事案です。

 この事案では,サイトに表示されていた参考価格は,いわゆる希望小売価格よりも40%も高いものでした。

 まず,問題となったのは,Amazonがその表示をしたのか,それともAmazonを利用している販売業者なのか,です。

 最終的に参考価格がいくらなのかを決定して入力したのは販売業者のようでした。

 しかし,そもそも参考価格が表示できるように設計したのはAmazonであり,参考価格をサイトに表示しているのはAmazonです(価格の決定権と表示しているのが誰かは別の話)。

 なので,表示したのはAmazonであると裁判所は判断しました。

 次に,参考価格が定価よりも高い点については,Amazonはアンケートを取るなどして,消費者の行動として結果に差がない,などの多くの主張をしました。しかし裁判所は,調査方法の不備を冷静に指摘して排斥しました。

鵜呑みにせずほかも調べてから買おう

 この裁判例は,一般消費者に悪影響が大きい参考価格のギャップについて,その責任を通販のプラットフォーマーに負わせたものです。

 プラットフォーマーは,極めて大きな権限を自社通販サイトで行使しており,責任を負うのは仕方ないと思えます。

 正直,値付けがおかしい販売ページ(PS5とか)はAmazonに限らずいっぱいありますが,安く見せかけるのはダメですよね。

 消費者としても,1つの販売サイトだけでなく,少しの手間はかかるけど,その商品の相場をネット検索するくらいはして,自衛に努めるべきかと思います。


この記事は、掲載時点の法律関係を前提として記載されています。法改正などにより、解釈適用に変更が生じる可能性がありますのでご注意ください。

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