この記事のまとめ
盗まれた自動車が事故を起こした場合でも、キーを刺しっぱなし、施錠しないなど管理に問題があれば所有者も責任を問われます。
きちんと自動車を管理するとともに、任意保険など万一の補償を掛けましょう。
泥棒が悪いはず!
ある日、自分の大切な自動車が盗まれたらショックですよね。
もう帰ってこないと諦めかけたとき、警察から電話が!やったと思ったら、誰かが勝手に運転して事故ったとのこと。
盗まれて壊された上に、事故の被害者から損害賠償請求をされたら、もう踏んだり蹴ったりですよね。
そんなの泥棒が悪いはず!そのお気持ちはよくわかります。
盗まれた所有者が責任を負わされる?
こんな場合、所有者は事故の被害者に損害賠償しなければいけないのでしょうか。
結論から言うと、責任を負う場合があります。
まず人身事故の事案で、最高裁は所有者の責任を認めました(最判昭和48年12月20日民集27巻11号1611頁)。
この事案では、ドアに鍵をかけず、エンジンキーをさしたまま、外から入りやすい車庫に入れていた事案でした(なお、民法709条でなく自動車損害賠償保障法3条(運行供用者責任)の事案)。
たしかに、この事案では、盗もうと思えば誰でも簡単に盗める状態で、大変不用心でした。自動車はひとたび暴れ出すと危険な凶器にもなります。ですので、きちんと管理することが求められているのです。
仮に、起爆スイッチ付の爆弾を自宅前にポンと置いといたら、そりゃ管理責任を問われますよね。自動車のその延長線上にあると考えてはどうでしょうか。
ポイントはきちんと管理していたかどうか
一方で、自由に入れない場所にキーを保管し、ドアを施錠していた(少なくともそう決めていた)などの場合には、最高裁は所有者の責任を認めませんでした(最判令和2年1月21日交民53巻1号1頁)。
やはり、車を施錠するなどきちんと保管していることがポイントになっています。
任意保険に入っていれば保険金が出る
仮に盗まれた所有者に責任が認められても、自賠責保険や任意保険を使うことができます。
まずはきちんと車両を管理する、そしてきちんとした補償内容の任意保険に加入することが、一番大切ですね。
それと、弁護士特約も忘れないで!
この記事は、掲載時点の法律関係を前提として記載されています。法改正などにより、解釈適用に変更が生じる可能性がありますのでご注意ください。