建物明渡に強い弁護士とは
建物明渡を請求したい場合,多くの方にとって訴訟や執行手続は不案内でしょう。
その場合,手続について弁護士に依頼されることをおすすめします。
そして,大家さんとしてはなるべく建物明渡に詳しい弁護士に依頼したいと思われるでしょう。
私が思うに,建物明渡の法的手続を進める上で,弁護士には4つの要素が必要です。
- 不動産に関する法的知識
- 相手との交渉に臨む粘り強さ
- フットワークの軽さ
- 経験からくるコストの見通し
この後,詳しく解説します。
1 不動産に関する法的知識
当然ですが,不動産の賃貸借,主に借地借家法やそれに関する裁判実務についての知識が必要となります。
建物明渡には,多くの場合,前提となる法律関係(建物賃貸借契約)を解消することが必要です。
そして,どのような理由で契約を解消できるのかは法的検討が必要になります。
その上で,どういう手段を取るのかを判断しなければなりません。裁判に訴えるのか,交渉するのか。などです。
裁判で判決を取りに行くにしても,下準備が必要です。解除の要件を満たすことができているかどうかです。
仮に判決を得ても,その後に待ち構える建物明渡の強制執行が難関です。
これら全てに,専門的な法的知識が必要になります。
2 相手との交渉に臨む粘り強さ
建物明渡は,仮に提訴した後でも,判決では無く,話し合いで決着することが多々あります。明渡の交渉は,入居者がそもそも経済的にどうにもならない状態になっており,とれる手段が限られているため,話し合いが遅々として進まないことがあります。それでも粘り強く,手続の進行と両睨みですすめることが肝要です。
3 フットワークの軽さ
建物明渡の場合,現地に行く必要が何度も生じます。昼間だけで無く,入居者が帰宅する夕方以降に現地で話し合うこともままあります。臨機応変に対応できるフットワークの軽さが必要です。
4 経験から来るコストの見通し
建物明渡は,特に執行に至るとかなり費用がかかります。全てを見通すことは困難ですが,掛かる可能性のあるコストをあらかじめ予想できることは,事件の解決において極めて有用です。建物明渡執行の経験のある弁護士であれば,ある程度コストの見通しができるでしょう。
経験豊富な弁護士への依頼をおすすめします
上記の用件を満たす経験豊富な弁護士は,何人もいると思います。
その中で,依頼者も弁護士も,波長の合う人(この人と事件を解決していきたいと思える人)と組んで事件にあたるのが肝要です。当職は,まず法律相談でお話しをお伺いします。お気軽にご連絡ください。
執筆:弁護士 田村裕樹 2021年7月時点の法令・解釈等に基づいています。